あおしまの日記

あおしまさんの日記らしいです。個人的に興味がある事を時々書きます。スマートウォッチPebble日本語パックを作成、公開しています。

SPC詐欺

そんな訳で、これから起こりうるSPC詐欺のテストケースとして、こんな物を夢想してみました。

ある日、「これからは無線インターネットの時代だ!」と思い立った人が居たとしましょう。そこで、会社を立ち上げます。名前は何にしましょうか?仮に○○○とでもしましょうか?初期にお金を調達すべく、初期投資のお金をかき集めたとします。ちょうどエンジェルになってくれる人も見つかり、その人の勧めで開業初期に「○○○投資事業組合」というものを開き、とりあえず会社は始動し始めます。

そこでまず、大々的に基地局を置いていくことにします。
最初はしょぼいかもしれませんが、基地局の広がりと段々加入者が増えると共に、まともに使えるようになってきました。そうなると世間でも注目を集めるようになります。メディアでも大きな事を吹いて煽ります。そのタイミングで新興市場へ上場。株式で資金を調達してここからさらに規模を拡大する事に。

さて、ここで事業効率化のために、機材調達やインフラの部隊を子会社に委託することにしました。手頃な傾きかけのネットワークやさんを買い取り、名前を変更します。仮に「○○○システム」という名前にしましょうか?ここで機材調達を一本化する事にしました。

しかし、加入者数は頭打ちになり、大手も高速通信を行うようになって、実は内情は火の車。基地局もお金を払うのでは割に合わなくなってきました。そこで、基地局に投資をしていただいて、数年後に利子をつけて償還する事を考えました。

古くは電話交換機詐欺からはじまって、インターネット普及期にMTCI、携帯電話普及期には大盛工業のモブデム、近年はIP電話では平成電電近未來通信と、実体のない機器や中継局を持っておくだけで云々という事業は過去にいろいろありました。そんな中で、今度は「無線インターネット中継局ビジネス」という物を考えたとしましょう。

窓口は最初に作った○○○投資事業組合。なぜか所在はタックスヘブンである某所。こうして大々的に基地局投資ビジネスを展開します。この組合に参画している一部経営陣はここからの配当を得てほくほくです。投資家は子会社の○○○システムから、基地局機材を購入することになっているので、子会社には投資家の数だけ売り上げも上がって一石二鳥。

もちろん、本業は表向き絶好調。右肩上がりに利益は増えていきます。上場した株価もそれなりに高値です。好況を背景に分割やら第三者割当増資を行ったりします。

しかし、なぜか連結されない○○○システムは、赤字続き。もちろん、利益は本社のもの。システム子会社は利益をうまく付け替えています。このまま数年間は、表向き好況を維持して行きます。

しかし、破綻の日はいつか訪れます。ある日を境に、恐い人が会社を出入りするようになり、社長は雲隠れ、不渡りを出して倒産します。好調だと思っていた会社は、○○○システムの利益を付け替えていただけで実体は赤字であったという事が判明しました。

もちろん投資して頂いた物は、会社とは関係のない投資会社の資産である為、投資家にはお金は戻ってきません。一部の方が引き出して終了するでしょう。また、株も上場廃止。紙くずになります。そして、エンジェルだと思っていた人は、実は......。

いかがでしょうか?恐いですねえ。

買収した○○○システムはSPC化して赤を背負わせればいい訳です。そして利益は本社の元へ付け替えます。今回の日興の話では、これでも社長や経営陣は罪に問われる事は無いという事ですし、再上場も認められるという事です。素晴らしき哉。しかも見せかけの好況を元に500億の増資を行っていると。

もう一度書きますが、不良債権処理に必要だという建前で、大蔵省でSPCがOKという事になりました。その時の実務担当が現国会議員の片山さつき氏です。「SPCとは何か」という本を出しています。ただし中身は彼女の他御用学者数人との共著です。

SPC法とは何か

SPC法とは何か

確かに時代背景としては必要だったのかもしれませんが、現在不良債権処理は一段落して「景気は上向き」だという話ですから、ここまで引っ張って来る意味もありません。あのエンロンの問題が起きた後も放置され続けていますから、昨年初めから日興が問題視されて以来、このリスクは現在どこに埋まっているのか見当もつきません。あのエンロンでさえ、末期に「この利益は今後の見通しも含む」の添え書き1つで巨額の赤を隠していた訳ですしね。