あおしまの日記

あおしまさんの日記らしいです。個人的に興味がある事を時々書きます。スマートウォッチPebble日本語パックを作成、公開しています。

CO2濃度計を分解した

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前書きに代えての予備知識(偏見)

以下はあくまでの私個人の偏見によるものです。

リチウムイオンポリマー電池について

リチウムイオンの動きを使う化学反応によって充電放電を行う充電池。リチウムイオンをポリマーに混ぜることで形を自在にパッケージできる特徴がある。密閉が破れると内部に貯められたエネルギー量によっては火花を出して発火、爆発することもある。弱点は充電しながら使うこと(=短時間の充電放電の切り替わり)、過充電、過放電。これにより充放電性能が落ちると膨らむ事があり、また発熱、最悪発火する場合もある。。

世界最大の雑貨街

中国には世界最大の雑貨街があり、ビル何棟もの規模だと言われる。そこで売られる雑貨は世界各地のバイヤーによって買われ、方々で売られている。安いものは100均などに、もう少し上の価格帯のものは、日本だとAmazonあたりで謎なアルファベット文字列のブランド名が付き、なぜか複数のブランドで同様の物が売られている事を目にする。

中国の「電子部品」

パーツ屋が集積し、様々なパーツが飛び交う。正規なものから怪しいルートのもの、中には検査不合格品や使用済み機器から取り外したものなども再生流通しているらしい?

中国の「会社設立」

大雑把に言えばお金を借りて会社を立ち上げるが、銀行からではなく個人からお金を集める事が多い。利回りを付けて返済をしていく形を取る。出資者への返済を超えて自分が儲けるために、稼ぎを最大にするためのあらゆる努力を惜しまない。

  • 例えば、納品個数に足らないものがあれば、間に合わせのためにいくつかの部品を検査落ち品、再生品などで間に合わせる、など。(特に外装に影響しない部品はよくやります。感熱センサーが入っていない体温計などが好例。)
  • 部品生産であれば、検査落ち品をOK品として出荷してしまう、など。

<ここから本題>CO2濃度計を分解してみた

さる事情から、CO2濃度計を入手し使用してみた。もちろん中国製のものを日本向けの箱に入れて売られているもの。

ある時、値が上限に振り切れる事が続き、中身を分解することにした。中には小型マイコンによる回路、温湿度センサーがあり、ケーブルで繋がる先に多用途ガスセンサーが繋がれていた。ガスセンサーはTPM-300。ネット上に唯一あった情報*1から推測すると、2ビットの旗上げよろしく空気の状態をHi/Lowでお知らせするセンサーらしい。
センサーの加熱に1分ほどかかり、その後測定に入る。センサーは4段階で空気の状態の「変化」のみを知らせる事ができる。具体的にはガス物質の量が「ない」「ちょっとある」「そこそこある」「多い」の状態。4面サイコロのような物。
空気のガスの状態をこのような単機能のセンサーで計るには無数の計測(サイコロを振る)を繰り返す必要があり、その良い悪いが釣り合う点まで到達してからが実際の測定となる。そのサイコロの目の傾向から空気の質の方向性を計算で割り出し、現在の空気の状態、並びにその中のある特定のガス物質を割合として算出しているようだ。だから常に測定を続けていないと、早く定常状態にならない。そのためには常に通電しておく必要がある。

内部にはもう一つワイヤーで接続されたものがある。リチウムポリマーバッテリーである。これはおそらく、センサーを常に動かし、測定を続けるためのもの。電池なしで立ち上げを試してみた。数値が程なくして6000まで上昇した後、ジリジリと下降し、最終的に400ppmを底とした安定状態に入った。この間9分ほど。測定するのに9分も待てないニーズのために、電池を入れているものと思われる。

しかし、実際の用途においては、ずーっと通電しっぱなしのシーンを多く見かける。電池を抜かずに通電し続けるのは、リチウムポリマー電池が一番不得意な「充電」「放電」を短期間に繰り返す動きになる。良いリチウムイオン電池であれば、電池の能力が弱くなって膨らんでも、外側のカバーが膨らんだまま破裂しない。しかしカバーが破れると、ことによっては発熱、発火する場合もあるだろう。

想像してみよう

  • もし、リチウムイオン電池が、間に合わせでNG品を出荷し、それが組み込まれていたら。
  • もし、機器製造会社が、間に合わせで怪しいリチウムイオン電池を組み込んでいたら。
  • もし、機器製造会社が、間に合わせで怪しい電子部品を回路に組み込んでいたら。
  • もし、そんな中の一つをあなたが購入していたら。
  • もし、そんなあなたのCO2濃度計が、常時通電していたら。
  • もし、CO2濃度計の中のリチウムイオン電池が、長い期間の連続通電で充放電の能力を衰えさせているとしたら。

その後

私は上記の可能性を考え、使用を中止することにした。火災のリスクを背負ってまで使うものではないから。

またこの機器が表す数値はCO2の濃度ではないものを測っている事がわかった*2ので、代替案を考えた。 
CO2を狙って計るセンサーを使い、濃度計を構築した。センサーだけで8000円、マイコンと合わせて13000円ほどした。つまり、CO2センサー単体の価格より安いものは、簡易的にすぎる子供騙しの計測機器であり、その安価なセンサーの劣った性能をカバーするためにリチウム充電池を内蔵している事が考えられる。

その設置事情(飲食店での換気の目安など)と、リチウムイオンポリマー電池の弱点を考えると、安値をはるかに上回る損失(出火、火災)を生み出すリスクが背後に潜んでいる。CO2濃度を目安とした人の密集度は、新型コロナウイルス感染拡大防止にはそもそも無意味であると考える。更に冬になれば暖房が排出するCO2や石油ガスを検知する割合も高くなり、人の密集度によるCO2濃度の目安値が意味を持たなくなる。

そろそろ、CO2濃度計による火災リスクを考えて取捨選択する時期かもしれない。