あおしまの日記

あおしまさんの日記らしいです。個人的に興味がある事を時々書きます。スマートウォッチPebble日本語パックを作成、公開しています。

DIC川村記念美術館のサインシステムについて

先日来*1、色部義昭さんの名前などで検索を掛けてここに来る人がずいぶん増えました。特に東京都内中心部のオフィス街から*2日がな繰り返しアクセスされる特定の方がいらっしゃいまして、どういった意図が?と思いましたら、

http://kawamura-museum.dic.co.jp/news/20080701_1.html

というページが出来ておりました。ようやく発注側の方も事の重大さを察した模様です。いや目出度い話じゃないですか。

これらのサインを初めて見た時、美術品そっちのけで見て回りまして、いちいち感動致しました。「野暮ったさと洗練されたデザインとの同居」。これを考えた人は、よほどセンスのある人か、ユーザーインターフェース系かユニバーサルデザイン系の偉い人か、それとも狂人か、と考えたぐらい。

ここに野暮ったさとは、故意に野暮ったさ、異形感を出して注目をひく為の野暮ったさであり、洗練とは、その内側に隠れている洗練された形とともに、その思想も含みます。

野暮ったい形、くどい形のサインは、普通の人には違和感で注意をひき、全体を弱視の方が見た場合にも、シルエットが収斂して意図が伝わる事を目指しているのではないかと。また、コントラスト比をうまく使った残像に意味を持たせる事で、意味のある整った形を浮き立たせる効果を同時に狙って、視覚に何らかの難ある方々へのアピール*3を行っていると。(特に内側の抜かれた矢印は整った形をしていました。また階段、通路の変形などは、実際の形状に応じたサインとなっています。)

また、抜けた所のコントラストで何かを感じさせる、残像をうまく使っているマークもありました。残念ながら展示エリアであるため写真には撮れませんでしたが、音声ガイドがある展示物を示すマークは秀逸でした。これを見れば、どなたもヘッドホンを想起され、音声ガイドを操作されるだろうと思います。(記憶を元に鉛筆で方眼紙に描いたのが写真です。パーツの比率は違えど、こんな感じでした。もっと耳当てがアーチに対して小さかった気もしますが。)

本当はもっと、男子トイレ女子トイレのサイン、エレベーター、金庫のサインなど、紹介したいと思う魅力的なインパクトあるサインがてんこ盛りですが、なにぶん写真機を振り回せない場所にあるのが玉に疵。サインシステムに興味ある方は千葉の奥地にありますDIC川村記念美術館まで足を運ばれてみてください。レンブラント「広つば帽の男」もいいですよ。あとは天井の七夕飾りの様な紙のオブジェや、ステンドグラスもお薦め。ミュージアムショップが結構センスいいもの揃えてあって散財必至です。

今回気が付きましたが、美術館ページ左脇の「友の会」も、先日の「レクチャールーム」に通じるサインで秀逸ですね。こんな小さいのに、人が2人、手を取りあっているのがわかります。色部さんのサインには、クドイ系とエッセンシャル系とがあるのでしょうか?
http://kawamura-museum.dic.co.jp/museum/index.html

館内サインシステムをまとめた小冊子*4なんかがあったら、金出してでも買いたいと私は思いますが、そんな奇特な奴はそう居ませんやねえorz

*1:http://d.hatena.ne.jp/aoshimak/20080618

*2:そういえば大日本インキさんは日本橋に本社をお持ちのようですが、そういう方面の方でしょうか?

*3:人間、絶対濃度よりもコントラスト比の方が視覚に感知されやすいと思いましたが

*4:色部さんの解説もあったらなお有り難い